天文書6
天文書6
前回は、折り畳み式 星の地図「FIELD STAR ATLAS2000」でした。
今回は、上記の星図の元になる、携行判 星の地図「FIELD STAR ATLAS2000」を紹介します。
制 作 渡辺和郎・金田宏
著書名 携行判 星の地図「FIELD STAR ATLAS2000」
出版社
出版年 2007年5月1日 初 版
2008年7月1日 第3版
価 格 500円
概要
サイズはA5、コンパクトです。それを縦方向に開き使用します。
表紙はビニールでコーティングされて、濡れても大丈夫です。しかし、中のページは厚手の紙が使われていますが、防水加工は施してありません。
構成
表紙を開くと縦に長いA4サイズになり、1ページ目が図1の北天の星図になっています。星図は図8まで有ります。これは、天文書5で紹介した、折りたたみ式 星の地図「FIELD STAR ATLAS2000」(以下、「折りたたみ式」と表示)の構成と全く同じです。ただし、南天の星図の余白には南北天の詳細図は載っていません。
「折りたたみ式」では表示されている星座線が、携行判には有りません。
「折りたたみ式」に無くて「携行判」に有るものがいくつかあります。
図8の後に、星座の略符がアルファベット順に全88星座が紹介されています。又、1等星のリスト(22個)が有ります。バイエル符号用にギリシャ文字の発音の仕方の表が有ります。
更に、月面図が掲載されています。月面図は倒立像の表示になっています。月面全体と、月面を4分割して、第1象限から第4象限まで、それぞれ主なクレーター名と直径が表示されています。目当てのクレーターを探すときは座標を利用し、地図の地名を探す要領でやれば、すぐに見つかります。各象限28個、全部で112個のクレーターが載っています。
その後のページには上記112個以外のクレーターが167個、各象限毎に、探しやすいように座標と直径が記載されています。
色々な月面図を見て思いますが、正立像が使い易いのか、倒立像が使い易いのか。又は、鏡像の月面図が使い易いのか。
実際に月面を観望するとき、多くは単眼視では天頂ミラーを使います。そうすると鏡像になるので、倒立像は使いづらいです。あるいは、大型の双眼望遠鏡で観望する場合は正立像です。最近の月面図は正立像のものが有ります。
個人的には倒立像の月面図はちょっと使いづらいかな、と思っています。
二つの「FIELD STAR ATLAS」を並べると、同じようなものですが、やはり違います。
実際に使うときの決定的な違いは、星座線の有無と、月面図の有無でしょう。星座線は有る方が探しやすいでしょう。こう考えると、通常は「折りたたみ式」を使い、月が有るときは「携行判」を使う、と言うのも一つの使い方でしょう。大きさに制約が有れば「携行判」に分が有ります。
さて、皆さんは、どちらにしますか。
なお、「携行版」も武雄の佐賀県立宇宙科学館で売っていました。裏には科学館のシールが貼ってあります。宇宙科学館を訪れるときは、実物をご覧ください。きっと、お気に入りの星図になるでしょう。