天文書14

天文書14最新画像で見る太陽

 「月刊天文ガイド」6月号で紹介されていた本書は、裳華房刊「写真集 太陽ー身近な構成の最新像ー」(2004年)の内容を元に、執筆者も新たに2名加わり、2006年に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」や最近打ち上げられた諸外国の太陽観測衛星の最新データを含めて改稿・増補されたものである。

著者名  柴田 一成  大山 真満  浅井 歩  磯部 洋明

書 名  太陽  ~最新映像で見る太陽~

発行所  ナノオプトニクス・エナジー出版局
発売   近代科学社
発行年  2011年 4月15日
価 格  5,500円 + 税

概要

 本書の大きさはA4サイズでやや大きめの本である。
 前書きには「現代は太陽観測の黄金時代である。・・・その結果、太陽の驚くべき正体が見えてきた。それを写真・画像の形で紹介するのが本誌である。
 「百聞は一見にしかず。画像をよく見ていただきたい。太陽のいたるところですごい爆発やガスの運動が起きているのが見えるだろう。画像が捉えた「すごさ」を理解するには、多少の専門的な知識が必要である。それについては、各ページに短い解説を付け加えた。このあたりが一般天文雑誌の解説とは一味違うところであるる。
 また、「太陽がこんなに激しく活動しているのだから、遥か遠方にはもっと激しく活動している星がいっぱいあるのではないか?そうなのだ。太陽を詳しく見ると、いまだに見る事のできない星々の激しい姿が見えてくる。」とある。

 最新の画像を含めて、太陽の活動に関する多数の画像がすべてのページを埋めている。その画像を見るだけでも興味深い。その解説は平易な文章で書かれていて読みやすい。
 5,500円と少し高いと感じる価格であるが、見て、読んでいると、全くそうは思えない。ニュートンの別冊にも太陽を特集した本が有るし、この本の著者が執筆した文章が中心の本も有るが、この本は画像を豊富に使って理解しやすく解説してある。

構成

 第1章
    白色光で見た太陽
    ・光球(白色光全面像) ・黒点  ・黒点磁場  ・黒点の構造
    ・半暗部微細構造  ・エバーシェッド流と半暗部磁場構造
    ・暗部輝点  ・移動磁気要素  ・サテライト(衛星)黒点 
    ・白色光フレア  ・黒点群の進化  ・黒点数と太陽周期
    ・太陽の自転  ・白斑  ・粒状斑  ・粒状斑立体構造
    ・微細水平磁場  ・超粒状斑  ・5分振動(日震学)

 第2章
    Hα光で見た太陽
    ・彩層(Hα全面像)  ・プロミネンス  ・噴出型プロミネンス
    ・サージ  ・スプレイ  ・スピキュール
    ・彩層活動領域とファイブリル  ・光球から彩層への移り変わり
    ・浮上磁場(アーチ・フィラメント)  ・エラーマンボム
    ・フレア(ツーリボンフレア)  
    ・ポストフレアループ(ループプロミネンス)
    ・回転しながら噴出するフィラメント  ・モートン波

 第3章
    その他の可視光線と赤外線で見た太陽
    ・フラウンホーファー線  ・CaⅡ線全面像
    ・「ひので」衛星が見たスピキュール  ・彩層アネモネジェット
    ・半暗部マイクリジェット  ・プロミネンスの微細構造とプルーム
    ・He線全面像  ・コロナ(日食)  ・コロナ(日食拡大)
    ・コロナグラフで見たコロナ
    ・プロミネンスキャビティ(プロミネンス空洞)
    ・日食で見る太陽周期  ・金環食  ・コロナ質量放出(CME)
    ・様々なCMEと太陽に飛び込む彗星  ・彗星に衝突するCME

 以下、記述項目が多数に及ぶので省略します。

 第4章
    X線で見た太陽
     ・28項目

 第5章
    電波で見た太陽
     ・5項目
   
 第6章
    極端紫外線で見た太陽
     ・11項目

 第7章
    太陽観測衛星と我が国の地上太陽観測所
     ・9項目

 コラム
     ・4つ

 用語解説
     ・25項目

 太陽観測史年表

 出典一覧

 索引
     ・350項目

 著者紹介

 付表1 
     単位換算表
 付表2
     ギリシャ文字の読み方と用例
 付表3
     10の乗数を表す接頭語

 紹介の途中から項目を割愛するほど、内容が盛りだくさんの本書は、最新の太陽情報が得られる一冊です。
 近頃、太陽観望に興味が出てきた私にとっても、大変に有用な一冊です。 

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