天文書15

天文書15不機嫌な太陽

 私たちの生活にも直結する非常に重要な事を取り上げている本なので、いつもより詳しく紹介させていただきます。

 この20年ほど地球温暖化に関する動きが大きく取り上げられるようになってきました。
 果たして、それは本当なのか?

 本書の帯には「地球温暖化ブームを嗤う」と有ります。
 本書名は「不機嫌な太陽」。副題は~気候変動のもう一つのシナリオ~となっています。
 1月13日にNHKのEテレ「サイエンスZERO」は、本書の内容に沿った番組でした。
 京都議定書など、政治の場面でも重要な題目になっている「地球温暖化」。しかし、その原因が温暖化をもたらすとされる気体ではなくて、もっとスケールの大きい宇宙的なものであったら・・・。
 大いに興味を掻き立てられる説が展開されています。

 本書を読み始めて暫くは眠気が襲ってくることがしばしば有りましたが、途中からはブースターが点火したようにどんどん先に読み進みました。(内容の理解は??)

 今日的な課題とされる「地球温暖化」への対策が、実はとんでもなくズレているとしたら・・・、まさに「嗤う」しかないのか?政治的なあるいは国や地域の利害を調整している現状は茶番劇では済まされない。さらに二酸化炭素の発生を抑える手段としての原子力発電だとしたら、根っこからズレていたことになる。あるいは誰かが利益を得るための筋の悪い経済活動だという事かも知れない。


書 名  「不機嫌な太陽」
著者名  H.スベンスマルク / N.コールダー
監 修  桜井邦朋
訳    青山洋
発行所  恒星社厚生閣
発行年  2010年 3月10日 初版1刷発行
          11月15日   2刷発行
価 格  2,800円 +消費税

概要 

 ユージン・パーカー(太陽風の予見者)による「まえがき」から冒頭部分の抜粋

 ~~地球の太古の気象を記録した化石を、地質学と気象学の両面から過去50年にわたって研究することにより、我々のこの古い惑星「地球」は、その誕生から現在に至る長い間に、極端に大きな気候変動を繰り返し経験していることが確認された。すなわち、気候は、両極地から赤道に至るまですべてが凍結した全球凍結状態と両極地まで全体に暖かさが広がった長期の温暖状態との間で変動したのである。~~まえがきより~~

 宇宙から飛来する高エネルギーの宇宙線が雲の発生をもたらし、その雲の多少で地表が冷えたり温められたりするメカニズムを立証しようとしている。宇宙線が雲の発生に関与する部分は、物理実験でおなじみの「霧箱」が登場する。
 スベンスマルクは様々な分野から人を集めあるいは研究の場所に入り込み、時には資金集めに苦慮しながら研究を進めていく。映画の「コンタクト」の場面に主役の科学者が資金提供を頼むために行動する場面があったが、スベンスマルクの場合でもこれと重なる部分が記述されている。
 論を進める中では、その時は将来このような形で利用されるとは思いもしなかったであろう過去に記録されたデータが意味をもつこともしばしば有った。
 この説を無視する学者や著名な科学誌などの話も、科学史に名を残す過去の科学者と同じような道が用意されていたが、様々な分野からの事実の積み上げで、道が開かれていく。

構成

 第0章 概説
   ~ 抜粋  ~~本書では、自然界の最大級の不思議をいくつか解き明かすために、地球上では大西洋の海底から化石の豊富な中国の丘陵まで、また、宇宙空間では荒れ狂う太陽から天の川の渦状腕まで、思いもよらない様々な場所を尋ねる。これらの空間と時間が隔たっているもの同士が、驚くべきことにつながっているのである。本書が扱う範囲がこのように広いために、まず最初に全体の簡単な概説を添えることとした~~~

 第1章 不活発な太陽は氷山多発期を生む
  我々の祖先は、衝撃的な気候変動に耐えてきた。これからの気候変動は、太陽活動の変動と同期して起こることが多かった。宇宙線によって生成された奇妙な放射性原子の増減は、気候変動を示している。それらの生成が増えた時は、世界は寒冷であった。それでは、宇宙線は、気候変動を引き起こす実働部隊(agent)なのだろうか。それとも、単にその一症状なのだろうか。
   ~小氷期における太陽黒点の消失、太陽風と気候変動 など~

 第2章 宇宙線の冒険
  超新星の残骸が、宇宙線を周囲に放出しているが、これらの宇宙線は、天の川銀河内で予想外の働きを果たしている。この宇宙線は、太陽と地球の磁場により、一部しか遮蔽できないが、それに含有されている高エネルギーの原子核以外は全て、地球の大気により食い止められている。気候変動を引き起こす宇宙線は、地球磁場の影響を受けない。
   ~宇宙線の発生源、星の燃えかすから出るもの ミューオン など~

 第3章 光り輝く地球は冷えている
  今流行の気候科学は、普通の雲が掴みどころがなくて当惑している。人工衛星による観測結果は、雲量が宇宙線のカウントに応じて増減していることを示している。気候変動に最も影響を及ぼすのは低い雲で、それが地球を寒冷化させているのである。そのことが正しいことは、その雲が雪原の南極を温暖化させている事実により確認できる。諸々の発見から、劇的な地球温暖化は、起こりそうもないことが分かる。
   ~雲による熱の出入りの抑制、太陽と気候との間の見落とされていたつながり、ペンギンは南極の寒冷化を知っていた など~ 

 第4章 雲の形を呼び込む原因は何か
  雲は、水蒸気が冷えて凝縮した時に形成される。水蒸気は、空気中に浮遊している極微細粒子の表面上に凝縮する。最も重要な極微細粒子は、笠さんの小滴である。これらの硫酸の小滴が形成される機構については、まだ解明されていなかった。これらの小滴の形成は、宇宙線により促進されることが、一つの実験によって示された。

   ~霧や雲の過去の形成実験、雲凝縮核の補給の必要性、CERNでのカークビーの実験、瞬間に起こった極微細粒子の発生、雲を作る種(シード)の種は電子である。

 第5章 恐竜が天の川銀河を案内する
  気候は、数百万年の間にリズミカルに切り替わる。氷期は、太陽系が天の川銀河の明るい腕を運行中に起こる。気候の寒冷化は、たとえば、鳥を出現させたように、生物の進化に影響を及ぼす。炭酸ガスによる温暖化は、世間で騒がれているよりも小さいだろう。現在では、気候変動のデータから、天の川銀河についての正確な情報が得られる。
   ~鉄隕石に託された伝言、各腕との遭遇による気候と生物の変化炭酸ガスについての議論、天体望遠鏡の役割を果たす貝殻 など~

 第6章 スターバースト、熱帯の氷、生命が変化するという幸運
  地球全体が氷で覆われた全球凍結期が数回あったことは、地質学者を驚かせている。その全球凍結が起こったのは、天の川銀河での星の「生成率」が最も高くなった時で、その時以外は起こっていない。その星のベビーブーム期には、宇宙線が強くなったのである。若い太陽の強い磁気作用が、地球を宇宙線から守って暖かくし、生物の出現を早めた。全球凍結期には、生物圏の生産性が高い時の繁栄と低い時の衰退の間で大きく振れた。
   ~全球凍結、星のベビーブーム、若い星は暗かったのに温暖だった矛盾、生物の変動性と宇宙線強度 など~

 第7章 人間は超新星の子供か
  気候の変動と人間の出現は、密接に関係していた。人間の出現は、現在の氷期が始まった時期と一致していた。その頃に、地球に極めて近い星の少なくとも1つが爆発し、それで生じた「宇宙線による冬」が、生物の進化を起こさせたのであろう。天文学者は、地球を奇襲した超新星を探している。
   ~アフリカのサルが埃っぽくなった時、ハエ取り紙に捕えられて超新星の原子、宇宙線による冬、超新星の残骸の探査 など~

 第8章 宇宙気象学のための行動計画
  気候変動の歴史は、多くの細部にわたる天まで、高エネルギーの宇宙線により説明できる。今後、我々の銀河の歴史を、より明確に説明する必要がある。それに、地球における気候変動の年代記も、より完全なものにする必要がある。我々が太陽に依存している現状を調査すれば、異星生物(alien kife)の探査に有効な情報が与えられる。気候科学は、将来の気候変動に対して対策を立てるのに役立つ情報を提供せねばならず、重々しい予言的なものであってはならない。
   ~宇宙線による気候変動の説明、雲の分子機構の研究、不可解なリズムで動く惑星、太陽活動の盛衰を読み取る、今日の気候変動についての建設的な見解 など~

 第9章 2008年における追記 ー 炭酸ガスの温室効果は微弱である
  宇宙線の詰まった空間領域に太陽系が入ったことが、我々の先祖の運命を決めてしまったのだろうか。γ線は、天の川銀河内で爆発性の星が多い渦状腕を浮かび上がらせる。太陽が昔から果たしている気候変動への役割を否定しようとする試みは、失敗に帰した。今では、炭酸ガスの機構への影響は明らかに小さいことが分かっている。地球が寒冷化すれば、この論争に勝つことになるが、それは最悪の事態である。
   ~新しい実験と局所泡への取り組み、天の川銀河における宇宙線分布図の作成、破綻した炭酸ガス原因説、小氷期の再来はごめんだ など~
 

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