天文書9
天文書9
前回は「ヘベリウス星座図絵」でした。
今回はフラムスチード天球圖譜(原本は1729年初版)です。
編 者 恒星社
発行所 恒星社厚生閣
発行年 1968年8月30日 初版発行
1980年8月30日 新装版発行
定 価 5,000円
概要
丈夫な表紙の26.5㎝×19㎝のサイズの本がボール紙のケースに入っている。
この本の原本の原本は1729年初版がロンドンで刊行されている。
フラムスチード天球圖譜の歴史的な事柄は、刊行の辞に「・・・グリニッジ天文台の創始者であり、しかも44年もの長きにわたって初代天文台長として実地観測を指導し、自ら率先して近代における最初の精密恒星目録を完成したフラムスチードの・・・」、
当時は使われていたが、現在では使われていない星座も描かれている。
又、復刻版の辞には、「・・・フラムスチード天球圖譜」は彼の死後、1729年初版がロンドンで刊行され、1776年に第2版として、1/3に縮小してパリ―で刊行された。この東京版はパリ―版を原著としたものであるが、図面の大きさはほぼ初版の3/7とした。」とある。
構成
・ 復刻版の辞(1968年 恒星社)
・ 刊行の辞(1943年2月)
・ 諸言
元期は1780年
星図の作図法
星図について(原本に一部削除や追加が行われている)
・ 1776年4月30日及び5月5日の帝室理学協会覚書より抜粋
・ 星図
1 北半球天図
2 カシオペア、セフェウス、竜、小熊、馴鹿、
3 アンドロメダ、ペルセウス、メヅーサの首
4 馭者、麒麟
5 小獅子、山猫
6 大熊
7 牧夫(牛飼)、猟犬、ベレニスの髪の毛
8 ヘルクレス、冠、地獄の番犬
9 蛇遣い、蛇、
10 海豚、鷲、アンチヌース、矢、ポニアトスキーの牛、
小狐、鵞鳥、ソビエスキの楯
11 白鳥、琴、
12 ぺガスス、小馬、蜥蜴
13 羊(牡羊)
14 牡牛、オリオン
15 双子
16 蟹
17 獅子
18 乙女
19 天秤、蠍、センタウルス、狼
20 射手
21 山羊、水瓶
22 魚
23 鯨
24 オリオン、エリダン(エリダヌス)、兎
25 一角獣、大犬、小犬、兎、船(アルゴ)
26 海蛇、コップ、 六分儀
27 コップ、烏
28 南半球天図
29 ラカーイュ氏による南半球天図
30 天球図および解説図
注 図12に描かれている蜥蜴座の絵は、およそ蜥蜴とは異なる生き物になっている。
・ 恒星表について(ブラッドレー)
星座に属する378個の恒星の位置が、一覧表になっている。
・ 演習
南中表の使用法
星座とその星々を見分ける法
各星座の星の並びが説明してある。星座が載っている図面の番号が記されている。
諸惑星
諸計算法
・ 解説
フラムスチードと現代の星座(藪内 清)
星座表が、日本語星座名、学名、フランス語名で一覧表になっている。
編入されてしまった星座
フラムスチード星図の史的地位(野尻 抱影)
フラムスチードとグリニッジ天文台(木村 精二)
現在では使われていないが、当時の社会を反映した星座が存在していたことなど、面白いことが多く載せられている。又、実践的な学習のページがあり、教育書としての性格も持たされていて、編者の思いが伝わってくるようだ。